イスラエル現地リポート

旅先の楽しみは人それぞれだが、やはりその地の文化を知ることが醍醐味だといえる。特にイスラエルでは、コーシャの食文化があるため、食料品店に行けば普通の国とは違うラインナップに驚くことだろう。今回のマーケットレポートでは、イスラエルのスーパーを例に、その特徴を説明したいと思う。

ーコーシャ製品が販売されている
コーシャの主なルールは3つある。
・禁じられた肉、家禽もしくは海産物を食べてはいけない
・肉と乳製品を一緒にしてはいけない。同時に食べてはいけないし、食器や調理用具は肉用と乳製品用に分けなければならない。
・肉はコーシャ処理しなければならない。

イスラエルのスーパーマーケットでは、上記の原則に則ったコーシャ製品が販売されている。しかし、一言でコーシャ製品と言っても、様々なバリエーションがあることはあまり知られていない。肉、乳製品、中性(肉でも乳製品でもないもの)、ぺサハ(過越祭)用、、、など、マークがそれぞれ分かれているのだ。また、認証は主に国内の認証団体が行う。まれに、海外の認証団体が認証を行う場合もあるが、その場合でも、国内の認証団体が追加で認証をする。そのため、1つの製品に2個も3個も別の認証団体のマークがついてあることもある。

また、コーシャ製品は陳列時にも気をつける必要がある。例えば、肉製品と乳製品の置き場を離したりするのがその例だ。これは、肉製品と乳製品を分ける原則からきているが、イスラエルのスーパーマーケットでは、肉製品と乳製品置き場に距離があることが多い。

ーユダヤ教の祝祭日に影響を受ける
安息日には営業を停止するのは当然のこと、他にもユダヤ教の宗教行事にスーパーマーケットも大きな影響を受ける。例えば、最近ぺサハという1週間の祝祭日があったが、この期間中は聖書の記述に従い、酵母を含む食品(ハメツとも言う)を販売することができない。実際にスーパーに行ってみると、シートが被されていて一部の製品を買えないような対応になっている。

厳格に宗教を守る店では、そもそも店として所有すること自体を避け、ぺサハの期間中『所有権を一時的に売却する』という方法をとる店もある。イスラエル情報を発信するシオンとの架け橋によれば、①近所や友人に異邦人が居れば実際に1週間預かってもらう、という昔ながらの方法②宗派全体のハメツの所有権をラビが代表して異邦人に売る(→ 1週間後に買い戻る)という方法、③宗教機関のハメツ売却特設ホームページで、各家庭ごとに売る方法など、法体系にまで影響を及ぼしたという。

地元のスーパーマーケットにおいても独特な文化をうかがい知ることができる。イスラエルを訪問する際には、ぜひスーパーマーケットにも足を運んでいただきたい。

イスラエルでは、ペサハ期間中、法律で小麦製品を陳列することが規制されるため、ピザ屋やパン屋は休業、スーパーは一部の棚をビニールで覆って営業する。

ペサハ用のパスタ