コーシャキッチンと調理器具

コーシャキッチンを維持するには、コーシャに適した食品のみを購入し、ユダヤ教の食に関する厳格な戒律を守らなくてはなりません。コーシャ食の規定は、ユダヤの人々と神との契約の一部である、トーラーに書かれています。

コーシャでは豚や甲殻類から作られた製品を食べてはいけない、ということを知っている人は多いかもしれませんが、キッチンや調理器具もコーシャ対応にしなくてはいけないという事はあまり知られていません。

コーシャでは肉と乳製品を同時に取ることは禁じられているので、食器類や調理器具、テーブルクロスも、分ける必要があります。食器や調理器具も、肉用と乳製品用では分けて洗わなくてはなりません。

コーシャ乳製品はすべて、コーシャ動物由来の原料を使用していなくてはならず、乳製品には、動物性原料を使うことはできません。トーラーには「子供をその母の乳で煮てはならない」と定められていますので、 ユダヤ人が1回の食事で乳製品と肉類を一緒に口にすることはなく、乳製品と肉類では専用の食器や調理器具を分けて使用します。

コーシャを守るためには、キッチン全体(調理する場所、食事をする場所、保管をする場所のすべて)がコーシャである必要があります。

肉と乳製品では、お皿やナイフ・フォーク類を分けることも非常に重要となります。乳製品用の皿にほんの少しの肉が載っていただけでコーシャとは認められなくなります(その逆も同じです)。

これには鍋やフライパン、調理器具、肉や乳製品の調理や給仕をする台の表面も含まれます。家庭では、肉と乳製品では調理台を分け、肉用と乳製品用の皿や調理器具も、専用のキャビネットに分けて保管しています。

厳格な家庭ではテーブルクロスやナプキン、ランチョンマットも肉と乳製品では区別する必要があり、肉と乳製品を入れた容器を冷蔵庫に保管する場合には、それぞれが触れ合わないように注意する必要があります。オーブンや電子レンジに肉と乳製品を同時に入れることはできませんし、こぼれた場合には素早く、徹底的に拭き清める必要があります。

肉用と乳製品用のお皿を一緒に洗うことはできませんし、シンクが陶器製の場合には、それぞれの調理器具や皿に、専用の洗い桶を使う必要があります。食洗機を使う場合には、内部がステンレス製でなくてはならず、肉用の皿と乳製品用の皿を洗う都度、掃除する必要があります。正統派のラビは、同時に使うことを避けてその間に掃除するとしても、肉と乳製品に同じ食洗機を使うことは認められないとしています。